創立10周年記念講演・感謝会のご報告
 本年で10周年を迎えました弊所は、去る2005年6月29日(水)午後3時〜8時、グランドヒル市ヶ谷にて、葛和国際特許事務所創立10周年記念講演・感謝会を挙行し、無事終了しました。お蔭様で当日は、延べ約140名のご参加を得て大変盛大な催しとなりました。ここにご講演くださった講師の先生はじめ、ご参加いただいた関係各位に心より御礼申し上げます。また今後とも弊所への変わらぬご支援、ご鞭撻をこの場を借りてお願い申し上げます。
 なお、講演会の概要を以下にご紹介いたします。

葛和国際特許事務所創立10周年記念講演会講演要旨

1.職務発明訴訟の被告企業の苦悩
弁護士:高橋雄一郎先生

 近年、職務発明訴訟が注目され、特許法35条が改正されたが、今後20年間、旧法が適用される事案が大半である。旧法における要件事実の中で、実質的に争点となるのは、「使用者利益額」と「使用者貢献度」の2つである。前者は、「対象特許がいかなる第三者によっても実施されていないことの証明」、「対象特許が無効であることの証明」、「クロスライセンス交渉において役に立たなかったことの証明」などが問題となり、後者は、「発明環境整備、使用者発案の立証」、「審査経緯における貢献立証(防御)」、「事業利益がでていないことの立証」などが問題となる。証明・立証は具体的になされなくてはならず、法の趣旨からの「そもそも論」だけでは解決できない問題である。
(文責:寺川誠)

2.知的財産権と企業活動のドッキング
東京工業大学大学院助教授 田中義敏先生

 企業の成長・強化のためには、知的財産活動(特許等の権利取得、紛争解決、特許情報の活用、ライセンス、職務発明管理運営)を上手に活用することが有効である。ここで必要となるのが知的財産活動と企業経営とのドッキングであるが、多くの企業では知的財産部門が専門家集団として比較的孤立しており、経営にうまくリンクしていないのが現状である。こうした状態を打破するために、まず知的財産部門が他部門とどのように連携し、経営に関与していくことができるかを分析する必要がある。その際には、売り上げや利益などの財務の視点ばかりでなく、顧客の視点、ビジネスプロセスの視点、そして、組織の習熟と成長の視点から知的財産活動の役割を検証していくのが効果的であろう。
(文責:三橋規樹)

3.知的財産を取り巻く今日的国際環境
WIPO事務局長特別顧問:植村昭三先生

 知的財産を取り巻く国際環境を四つの時代、すなわちBIRPI時代(19世紀末−1960)、国連(UNCTAD)・WIPO時代(1960−1986)、GATT/WTO・WIPO時代(1986−2000)、多国間フォーラ多極化時代(2000−現在) に分けて、それぞれの時代に特徴的な取り決め、条約等の説明があった。すなわち、知的財産を取り巻く国際環境について、その黎明期から現在に至るまでの歴史を俯瞰したこととなる。また、将来的な話題として、公衆衛生、情報(IT、インターネット)、遺伝資源・伝統的知識・フォークロアの保護等の重要性が高まる旨の説明があった。
(文責:井上洋一)

4.これからの知的財産訴訟
九州大学大学院教授:熊谷健一先生

 2002年に司法制度改革推進計画が策定され、国民の期待に応える司法制度の構築、司法制度を支える体制の充実の強化、及び司法制度の国民的基盤の確立を目的として、民事裁判の充実と迅速化、専門的知見を要する事件への対応の強化、専門委員制度の導入等が定められている。これに伴い知的財産訴訟の分野においても知的高等裁判所が設置され、また裁判所法の改正による特許法の改正もなされている。このような制度面の改革により、侵害訴訟の第1審、控訴審ともに受理件数が増加しているにもかかわらず、審理期間が大幅に短縮している。今後知的財産訴訟をさらに充実させていくためには、国際化への対応、裁判以外の紛争解決の充実等が必要であり、さらに企業においてはリスク回避のためのマネージメントが求められている。
(文責:望月史郎)

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